現代人が直面する”過剰なデジタル社会”に警鐘を鳴らした「スマホ脳」(アンデシュ・ハンセン著)
書店で大々的にPRされていたり,「2021年に最も売れた本」としてニュースにもなったので,実際に手に取ってみたという方も多いのではないでしょうか。
本書が売れた背景には,新型コロナウィルス蔓延によって自宅でデジタルツールに触れる時間が大幅に増え,デジタルツールとの付き合い方に疑問を感じたという点があるとのことです(特に子供を持つ親世代に人気があったそうで)
本書の内容については,ブログやニュース,Youtubeなどで散々取り扱われているので今さら書き留めることはしませんが,今回は「本書を読んですぐに実行に移せること」という観点でまとめました。
「発売されてすぐ読んだけど,もう内容を忘れた」や「結局,まだスマホ中毒のままだよ」という方は,本書を思い出しつつ,実際の行動に移せるキッカケにしていただけると幸いです。
「スマホ脳」の内容まとめ
冒頭で書いたとおり,本書の内容に関する詳細は取り扱いませんが,ざっくりと要点のみご紹介します。
- 人類の脳は狩猟採集時代と変わっておらず,現代のデジタル社会には適合できていない
- スマートフォンはドラッグと同じで中毒性が非常に高く,ポケットやバッグに入れたぐらいではその驚異から逃れられない
- SNSなど,スマートフォンのアプリは人間の脳の弱いところを突くように作られているので逆らえない
- 現代のストレスへの対抗策として効果的なのは「運動」である
スマートフォンを含むデジタルツールによって我々の生活が便利になった反面,その変化についていけない人間の本質の部分で問題が生じていることを,人類の進化・歴史から紐解いた本になります。
「スマホ脳」で得られた知識の実践
本書を内容を確認したところで,ここからは本書を参考にして実生活に活かせるデジタル・デトックスの手法をご紹介します。
スクリーン時間を制限する
まずは,画面(スクリーン)を見る時間を減らしましょう。
具体的には,スマートフォンを,物理的に離れた場所におきます。
スマホを裏にして机に置く,ポケットに入れる程度ではスマートフォンの強烈な誘惑からは逃れられないので,空間を分けた場所に置くことが理想です。(かばんの中や別の部屋など)
仕事でスマートフォンを使用している方は,物理的に離れた場所に置くことは難しいかと思いますが,自宅ではできる限り別室に置くようにしましょう。(手を伸ばせばすぐに届くような場所はNG)
私は,自室の横にドアを隔てた物置部屋があるので,自宅へ帰ったらすぐにスマートフォンを置くようにしています。(物置に充電ケーブルを置いて,そこでなければ充電できないようにしています)
面白いもので,スマートフォンを別部屋においていると,休日は半日以上も触らないということすらあるぐらい,その存在感を抑えることができるのでオススメです。
スマートフォンの画面をモノクロにする
スマートフォンの画面をモノクロにするだけでドーパミンの分泌を抑制することができます。
私は普段,スマートフォン(iPhone)・タブレット(iPad)をモノクロで運用していますが,その効果を日々実感しています。
不思議なもので,モノクロだと目の刺激が少ないので,誘惑してくるコンテンツ(SNSや広告など)に対しての興味が大きく薄れ,長々と端末に触れることがなくなります。
画面のモノクロ化は過去の記事でも紹介しているとおり,手っ取り早く,かつ簡単にできるので,ぜひお試しください。もちろん,iPhoneだけでなくAndroidにもモノクロにする機能がありますよ。
寝る1時間前にスクリーンをオフにする
寝る1時間前からは画面(スクリーン)を見ないようにして,睡眠の質を上げましょう。
「それができれば苦労しないよ・・・」と思われるかもしれませんが,試しに一度,寝る前の1時間に本を読んだり,何かを書いてみたりしてみませんか?
特に読書については,イギリス:サセックス大学の研究で「6分の読書はストレスを大きく(68%)減少する」という結果が出ているほど,ストレス軽減効果があることも分かっているので,日々強いストレスを感じている方には本当にオススです。
私は毎日23時頃に就寝するので,22時を目安にPCを閉じてから,本を読んだり,ブログ記事の構成を考えたりするようにしています。(本は基本的に電子書籍で読みますが,寝る時用に紙の本も準備しています)
さらに睡眠の質を上げたいという方は,寝る1時間以上前にも必要以上のブルーライトを受けないようPCやスマートフォンのブルーライトカット機能を使用しておくと良いでしょう。
「運動」する時間をつくる
デジタル社会のストレスに悩む方の最高の対処療法は「運動」です。
日々働いている方にとっては,この「運動」というのが時間的にも精神的にも難しい行為だと思いますが,運動は,デジタル社会で溜まったストレスを発散するために,何よりも効果がある方法だということを認識しておきましょう。
仕事から帰宅するとへとへとだ。ソファに倒れ込んでしまいたいと全身が叫んでいる。でも心を落ち着かせる一番いい方法は、ランニングシューズを履いて外に出ること。
アンデシュ・ハンセン. スマホ脳(新潮新書) (Japanese Edition) (p.159). Kindle 版.
運動量の目安は1週間に45分×3回が理想で,心拍数の上がる運動であれば尚良しです。
とはいえ,いきなり「運動するぞ!」と負荷の高い運動をしても三日坊主どころか1日しかもたないので,まずは軽い散歩を20分ぐらいするところから始めるところからスケジュールに組み込んでみてはいかがでしょうか。(本書では,数分の散歩でも効果があると述べられています)
参考までに,私の好きな本である「ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣」(ジェームズ・クリアー著)から,物事を習慣化するためのヒントをいくつかご紹介します。
- 「わたしは○○(いつ),△△(どこで),□□(何を)する」 ←これを埋めて実行する
- 例:私は午前6時に起きて,自宅の周りを30分歩く
- この方法で大事なことは,”自分が設定した条件を満たしたら,何も考えずにただ実行する”ということです。ウダウダ考えてはいけません。
- 現在の習慣に,新しく習慣化したいこと(今回であれば運動)を紐付ける
- 例:毎週○・○曜日にゴミを捨てに外に出たら,そのままランニングをする
- 例:トイレに行ったら,椅子に座る前に軽い筋トレをする
- この○○したら,△△するというのは,「if-thenプランニング」として,「やり抜く人の9つの週間 コロンビア大学の成功の科学」(ハイディ・グラント・ハルバーソン著)でも取り上げられている効果的な手法です。
- 2分間ルール:2分以内にできることにすること
- 例:ランニングを習慣化したいなら、「着替える」ことを目標にする
- 例:勉強を習慣化したいなら,「参考書を1ページ読む」ことを目標にする
- たった2分ですが,習慣化にしたい行動の”キッカケのために動く”ことで,そのままの勢いで数分・数時間と取り組むことができるようになります。
あまり参考にはなりませんが,私はロードバイクを趣味としていることもあって,自宅で自転車ができる機材が揃っているので,それで週3回以上,心拍の上がる運動しています。(運動時間は事前にスケジュールに入れて実行しています)
「スマホ脳」の内容を知るのにオススメの動画
おわりに
「スマホ脳」が世界的ベストセラーになったのは広告効果も大きいですが,それ以上に,「デジタルツールに”自分”を奪われている」と感じている人が増えていることの現れだと思います。
新型コロナの蔓延も少しずつ落ち着いてきた昨今,あらためてオフラインの重要性が見直されているので,スマートフォンから少し離れて”目の前の人”に集中してみてはいかがでしょうか。
生活に必要なアイテムだからこそ,そのモノに人生を振り回されてしまわないように気をつけたいものですね。
本記事が,デジタルツールの扱いに悩む方々の一助になれば幸いです。
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